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デジタルカメラの階調表現の改善

はじめに

このJ's Garageもオープンしてもうすぐ1年半になりますが、その間訪問者の皆さんのお役に立てるような内容の話題を提供してきたかと言うと甚だ疑問です。何せ、ほとんどのコンテンツが単なる自己満足だったり、役に立ったとしても私の持っている製品と同じものを持っている/買おうとしている人だけしか意味がなかったり、「面白そうだな」と思っても今では入手不可能な製品だったりですから。
たまには「普通の」「一般の」人のお役に立つような内容も載せなきゃ、と思いつづけてはや1年半過ぎてしまいましたが、ここにきてやっと役に立てそうなネタがちょっと出てまいりましたのでこちらのお客様だけにこっそりお教えしたいと思います。

デジタルカメラの欠点

もともと、デジタルカメラの欠点のひとつとして、フィルムカメラよりもダイナミックレンジが狭いという問題がありました。ここ2年ほどは、カメラのボディはコンパクトに、値段は安く(あるいは据え置きで)、かつ高画素数にというトレンドのお陰でちょっと暗いとノイズが乗りまくり、ちょっと明るいと白トビしまくり、とダイナミックレンジも狭さにますます拍車がかかっています。
ノイズはデジタルノイズリダクションの技術で、白トビ/黒つぶれはハイビットのA/Dコンバータで多少ごまかしたとしても、根本的な解決にはなりません。

メーカーからの回答

この問題に対してひとつの解を提示したのが日本ビクターでした。デジタルスチルカメラ市場に再参入の際に投入したPixstar GC-X1というモデルでは、露出を変えた多重露出によってダイナミックレンジの改善を図りました。この機能は基本的に被写体が静物でかつカメラを三脚等で固定しないといけないということもあり、あまり注目を集めることがありませんでした。このモデルは残念ながらいまひとつ人気が出ないまま、GC-X3という後継モデルが出た後市場からフェードアウトしてしまった観があります。

これに対して注目を浴びたのがサンヨーの2001年夏モデルのDSC-MZ1です。特徴のひとつは、通称「ワイドレンジショット」という、まるでウルトラセブンの必殺技のような機能です。基本的なコンセプトは先のビクターと同じなのですが、サンヨー独特の爆速と、プログレッシブスキャンCCDの採用とあいまって、被写体が動いてさえいなければ手持ち撮影でもある程度実用になるという点でかなり話題になりました。

汎用的な方法は

それ以来、このワイドレンジショットを普通のデジタルカメラで撮影した画像でも擬似的に再現する方法が検討され、私自身もあちこちのWebサイトや雑誌などでいろんなやり方を目にしました。つまり、ブラケット撮影した複数の画像をパソコンの画像ソフト上で合成することにより、あたかもダイナミックレンジの広いカメラで撮影したかのような効果を得る方法です。いままで見た方法としては、フォトショップなどのレイヤーマスク機能を利用して画像の部分部分を合成する方法とか、レイヤーの乗算モードを利用して合成する方法などがありましたが、どれも結構手間がかかる上にある程度「勘と経験、そして度胸」が必要で、機械的に単純作業によって実現することは難しい、という問題がありました。

そんなある日、風邪をひいて寝床でウンウンうなっている最中にふと使えそうなアイデアがうかびました。実際に試した限りでは結構いけそうです! ということで、以下にその手順を紹介申し上げます。

まずは下ごしらえ

お手持ちのデジタルカメラを利用して、「適正露出」「プラス補正」「マイナス補正」の3種類の露出で同じアングルで撮影した画像を3枚用意します。方法は何でもかまいません。ブラケット撮影機能があるカメラならそれを利用するも良し、露出補正機能を利用するもよし、マニュアル露出で撮るもよし、やりやすい方法で撮影してください。完全にフルオート露出で露出補正機能も無いモデルだったりすると難しいですが、最近のモデルならまず大丈夫かと思います。

気をつけていただきたいのは、できればホワイトバランスも予め固定しておくと良い、という点です。被写体によっては、明るい部分重視で撮影した場合と、暗い部分重視で撮影した場合とでホワイトバランスが変わってくる場合がありますので、適正露出でホワイトバランスを固定しておくのがbetterです。

今回私の実験の例では、静物撮影を簡単に行なうということで、以前紹介したスライドコピーアダプタを利用してリバーサルフィルムをクールピクス950にて撮影してみました。被写体はうれしはずかし水着の可愛いお姉さんです。ホワイトバランスはマニュアルセット、露出補正は-1.0EV、0EV、+1.0EVの3段階です。以下が、撮影画像の縮小画面です。

-1.0EV補正

補正無し

+1.0EV補正

次にトーンカーブ調整

さて、やりたいことは、マイナス補正した画像の明るい部分と、プラス補正した画像の暗い部分をそれぞれ抜き出して、補正無し画像の中の白トビ部分と黒ツブレ(あるいはノイズの多い部分)を補いたい、ということです。

そこで、それぞれの露出補正画像のトーンカーブをいじって、使いたくない部分を飛ばしてしまいます。

マイナス補正画像から、明るい部分を抜き出す。 プラス補正画像から、暗い部分を抜き出す。

次はレイヤー合成

必要な部分が抜き出せたら、次は補正無し画像の上に新しいレイヤーを作ってこれらの画像を重ねます。まずは、不透明度25%のレイヤー1を補正無し画像の上に作ります。

レイヤー1に、先ほど作った「マイナス補正画像の明るい部分」をコピー&ペーストします。

不透明度25%のレイヤーを重ねているので、階調の半分以下の部分は通常の75%の明るさとなり、半分以上の部分はレイヤー1画像の部分を加えて最大100%に向かってなだらかに上昇する形となります。

続いて、上と同様に不透明度25%のレイヤー2を作り、「プラス補正画像の暗い部分」をコピー&ペーストします。

さらにレイヤーを重ねるので、階調の半分以下の部分は、プラス補正の暗い部分+補正無し画像、半分以上の部分はマイナス補正の明るい部分+補正無し画像、という構成になります。結果的に、コントラストをぐっと弱めたような印象の画像になります。

最後はレイヤー統合と微調整

以上でレイヤー合成が終了しますので、後はレイヤーの統合を行なった後に、自動レベル補正を行なうなどして、適度に画像にメリハリをつければ完成。補正無しの一発撮りの画像と、合成画像とを比較すると、下記の通りです。

無補正画像

合成画像

いかがです?正直申して、白トビに関してはあまり大差の無い結果になってしまいましたが、暗い部分に関して言えば、例えば髪の毛の黒くつぶれてしまいがちな部分が多少見分けがつけられるようになっていますし、あごの下のちょっと陰になった部分の色ノイズがかなりすっきりとなっていることも認めていただけるかと思います。

なによりも(これは予期せぬ効果でしたが)顔の部分のコントラストがやわらげられてポートレートとしては非常に見やすくなったこと、お肌の感じが非常にしっとりすべすべという印象になったことがよろしいですね。これなら被写体のモデルさんにも喜んでいただけることかと思います。

最後に

ということで、紹介した方法による合成では、今回のテストサンプルとしたポジフィルムを撮影した女性ポートレート画像に対しては非常に効果的であることがわかりました。が、他の画像に対しても汎用的に使えて効果があるかどうかはまた別の話です。また機会をみつけて風景とか花とか、もっとカラフルな被写体とか、色々なサンプルでも試して検証してみたいと思います。

また、個人的には今回の方法の応用で、ネガフィルムを綺麗に撮影する方法を追求してみたいと思います。成果が得られましたら、また改めてこちらにて報告させていただきたいと思います。

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