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色分解写真に挑戦!

先日の階調表現改善の実験以来、ちょっと多重露光と合成にはまってしまいまして、今回は色分解写真に挑戦してみました。

色分解写真とは何か といいますと、要は赤、緑、青のカラーフィルタをつかって、光の三原色の成分毎に分けて被写体を撮影する手法のことです。これは別にデジタル写真に限らず、フィルムの写真の頃からあるテクニックで、それぞれのカラーフィルタをレンズにつけた状態で3回に分けて露光するだけのことです。このとき、静止している被写体は普通に一回で撮影したときと変わりませんが、動いている部分に付いては三原色毎に写り方が変わってきますので、特定の色がつく、という訳です。例えば雲の動きや水の流れなどの被写体の時間的変化を色の違いで表現する、というものです。

今回使ったフィルタはこちらです。Kenko社製のSP(スペクトラム?)カラーセットという3枚セットのカラーフィルタです。

名古屋のカメラ屋さんで\3,780で買えました。

割としっかりした合成皮革ケースつきです。

まずは下ごしらえ

まずは、適当な被写体の前に三脚などをたてて、カメラをしっかり固定します。で、R/G/Bというような順にフィルタを付け替えて、1枚ずつ普通に撮影します。モノクロモードがあるカメラでしたら、モノクロモードに設定して撮影すると良いかと思います。このとき、自分がどのフィルタを使って撮影したかはメモしておいたほうが良いです。あと、普通にカラー撮影したコマも一枚撮っておくのがベター。(後で色のバランスを合わせるため。)

モノクロモードがなければ、通常のカラーモードで撮影すれば良いですが、色の偏りを補正してしまって特徴が吸収されてしまうことを避けるために、ホワイトバランスだけは「オート」ではなく「太陽光」とか「プリセット」とかで固定しておいたほうが良いかもしれません。

時間に従って噴き出し方が変化する噴水を撮影してみました。

左上:赤のフィルタを使って撮影

左: 青のフィルタを使って撮影

上: 緑のフィルタを使って撮影

こうしてみると、緑のコントラストが最も高く、青、赤の順に弱くなっていくのがわかりますね。

次にデータの合成

ネタを撮影したら今度は暗室作業、じゃなかったパソコンに向かっての作業です。撮影した赤/緑/青成分の画像をPhotoShopなどの加工ソフトで開いたら、もう一枚同じ大きさの新規画像を作成して、その画像の赤/緑/青のチャンネルにそれぞれ貼りつけます。すると、こんな感じの画像が生成されます。

後は、普通にカラー撮影した画像を横に開いて見比べながら、カラーバランスや彩度、コントラストなどを調整すればOK。そうやってできたのがこの画像です。

どうです、簡単でしょう? ちょっとだけ初期投資はかかりますが、別にちょっとお遊び程度で実験する分でしたら、子供の頃に使った色付きセロハンを使っても充分にいけると思います。これからの時期ですと、クリスマスイルミネーションなどをこの方法で撮影してみても面白いかもしれませんね。

同様に撮影したサンプルを以下にお届けします。冬の日本海の荒波など撮影するとダイナミックかもしれませんね。


色再現の向上への応用

上に紹介したのは、表現手法としての色分解写真の利用でしたが、私が期待したのはもうひとつの側面です。つまり、ビデオカメラの高級機などで良く応用されている三板式CCD方式をデジタルスチルカメラでも仮想的に実現して、色の再現性を向上できないものかな?ということです。

もちろん、本格的に行なおうとすると、CCDの画素ひとつひとつについているモザイク状のカラーフィルタを取り払って、モノクロCCDを使って撮影しなければあまりメリットがありません。(色が濁るし、感度も低下する。)まぁ、その辺は承知の上でのお遊びの実験です。何事もやってみなきゃわかりませんからね。

普通に撮ったサンプル

下の2枚の写真を見てください。同じ被写体をほぼ同時刻に同じアングルで撮影しているにもかかわらず、ずいぶん色が違うことに気付くことと思います。左の写真が、ニコンクールピクス950で、右がカシオQV-8000SXで、それぞれ「太陽光」のホワイトバランスにて撮影したものです。

不思議なもので、「劇団四季」の文字のバックの部分の色は、両者ともさほど大きく変わらないのに、壁の紺色の部分や黄色い帯の部分は大きく異なっていますね。

好き嫌いで言えば、意見が分かれるところだと思いますが、現物に近いのはQV-8000SXで撮影した右のほうの色です。QVはQVで完全に正確な発色という訳でもありませんが、こと壁の紺色に限って言えばQVの方が見た目に近いです。

では、クールピクスを使って色分解撮影を行なってみればこれが改善されるでしょうか?試してみましょう。

上で紹介した、噴水を撮影したのと同じ方法で合成したのが、右の写真です。

この日は結構風が強くて、図らずも雲の動きを色分解で表現した形になってしまいましたが、静止している建物に付いては、ワンショットによるカラー撮影とはかなり違う色表現になり、QVのそれとかなり近づいてきました。

むしろ、QVの色は少々誇張が入っていて、こちらのほうが正確かもしれません。

とはいえ、今度は「劇団四季」の文字のバックの色がちょっと変わってきました。特に「劇」の字と「季」の字の背景色がずいぶん変わっています。これはどうしてでしょう?

分光特性の違い

ふと気付いたのは、SPカラーフィルタの分光特性と、クールピクス自体の分光特性、ひいてはPCで扱う際のR/G/Bの波長とが異なっていることに起因しているのではないか?ということです。

早速、太陽光でホワイトバランスを白セットした状態で、各フィルタをつけて撮影したコマのデータを調べてみました。結果は次の通りです。

PCデータ|フィルタ

赤フィルタ

緑フィルタ

青フィルタ

R成分

255

68

95

G成分

56

201

133

B成分

45

87

255

これを見ると、赤フィルタについてはかなりG/B成分を阻止しているのに対して、緑フィルタはG成分自体が完全に透過していないですし、青フィルタはかなりG成分を透過しているしで、かなりクールピクスが判断するRGBと違いがあるようです。

さらには光そのものの透過率もフィルタによって差がありまして、一番透過率の高い緑フィルタに対して、赤フィルタの場合は露光時間が約2.5倍強、青フィルタの場合は約2倍弱と、露出で一段分位の差があることが判りました。

上で調べたパラメータを加味して作りなおしたのが左の写真です。(方法に付いては皆さんで考えてみてください。)

壁の色はまた少々変わってしまいましたが、「劇団四季」の背景色は割と実際に近くなったかな?という気がします。

こうなってくると、人間の記憶なんていいかげんなもので、どれも正しい(あるいは間違っている)ような気になってきてしまいます(苦笑)。

まぁ、いずれにしてもクールピクスで普通に撮影したオリジナルの画像よりは、はるかに元の被写体の色に近づいたこと間違い無い、と思います。皆さんも興味がありましたらぜひお手持ちのデジタルカメラでお試しください。

色分解撮影について

2001/12/10 追記

あとから良く考えたら、前半で紹介した色分解写真の手法に付いては別にカラーフィルタを使わなくても、時間差をつけて撮影した3枚の画像からそれぞれR、G、Bチャンネルのデータを取り出して、それを1枚の画像に合成するだけで可能ですね。

そうやって合成したのが右の画像です。このクリスマスツリーのイルミネーションは単色の白熱電球なのですが、点滅するタイミングが違う関係で色分解撮影すると、ほらこの通り、カラフルな灯りになります。

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