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CCDサイズと画像の関係

CCDの小型化

昨年(2000年)の春に300万画素クラスのデジタルスチルカメラが各社から発売されて以来、撮像素子(主にCCD)の画素サイズと画素ピッチの狭小化に伴う弊害が色々と取り沙汰されています。曰く、

  • 受光素子部分の面積が小さくなることによる出力の低下とそれに伴うS/N比(信号対雑音比)の低下。
  • 一個一個の画素が配置されるピッチが小さくなることによる、光学的限界解像度に対するマージンの低下(逆マージンの発生?)。すなわち絞りをうんと絞り込むと光の回折により解像できる明暗の波長が画素ピッチより低下してしまう関係で、最大絞りを制限する必要がある。逆にその制限をしないと絞りを絞り込んだ際に、今度は画素ピッチに見合った光学解像度が得られず、画素数相応の解像感のある画像が生成できない。

等などです。絵で描けばこんな感じでしょうか。

もっととっつきやすい言葉で言いなおせば、

(1) 暗い所を撮影すればノイズまみれ。

(2) 明るいところを撮影すれば白トビが発生。

(3) 快晴の屋外や雪山、夏の砂浜等では露出オーバーになってしまって、マイナス補正もできない。

(4) 被写体の絵柄が細かい部分(人の髪の毛の一本一本など)がはっきりと解像できずにじんでしまう。

というようなことになるそうです。

ま、小難しい理屈はさておき、本来なら画素が大きなものと小さなものとで、まったく同じ被写体を同一条件下で撮った画像を単純に比較できれば一目瞭然でわかる筈なのですが、

  • 当のメーカーが新機種の欠点がわかるようなサンプルを出すはずがない。
  • 各メーカーからサンプル機を借りたりしている雑誌社にもそういう資料の公表は期待できない。

わけですし、ましてや良くないとわかっていてわざわざ自分で小画素のカメラを買って撮り比べる気持ちもさらさらありません。

何とか確かめる方法は無いかと思って考えた挙句出た結論がこんな方法でした。

ビデオカメラで撮り比べ

我が家には、画素ピッチ3.4ミクロンの1/1.8型 300万画素CCDとか、画素ピッチ3.3ミクロンの1/2.7型 200万画素CCDとかを搭載したデジタルスチルカメラこそありませんが、父親が昔からビデオ撮影・編集に凝りまくっていた関係でビデオカメラなら売るほどあります。その父が昔、2台目のハイ8ビデオカメラを買った際にこんなことを申しておりました。「フォーマットがハイ8になり、CCDも41万画素になって確かに解像度は上がってきたけれど、発色は悪くなってしまったなぁ。最初に買った、CCD-V30(ソニー製の8mmビデオ。確か、1/2型 27万画素CCD、手動2倍ズームを搭載。)の方が色はよほど良く乗っていたぞ。」と。

この場合は、1/2型 27万画素(有効25万)が1/3型 41万画素(有効38万)になったわけで、単純計算で画素当たりの面積が3倍以上違うことになりますので、さもありなん、と思います。残念ながら、このCCD-V30はすでに手元にはありませんので、もう調べることはできないのですが、これほど極端ではないにしろ画素サイズの異なるCCDを積んだカメラがまだ手持ちの中でいくつかあるかもしれない、ということで今回の実験を思い立ちました。

本当は、折角の3連休が給料前で遊びに行けないので家でおとなしくお金のかからない遊びをしていた、というのが真相ですが(爆)。

実験に使ったカメラたち

ここで、今回使ったカメラを紹介しましょう。

モデル

CCD

画素数(万)

(有効/総)

焦点距離

(実/換算)

手ぶれ

補正

その他

ソニー DCR-VX700

1/3 型

34/38?

6.1-61mm

(42-420)

光学式

Mini DV

ソニー DCR-PC7

1/3 型

34/68

4.0-40mm

(38-380)

電子式

Mini DV

ソニー DCR-TRV300K

1/6 型

29/46

2.4-60mm

(42-1050)

電子式

Digital8

松下 NV-DJ100

1/4 型

25/27 X 3

4.0-48mm

(38-456)

電子式

Mini DV

3CCD

富士 FH-30ST

1/3 型

38/41

4.5-81mm

(32-580)

電子式

Hi8

目論見としては、ソニーの3機種で

  • 同じ1/3型と言いながら光学手ぶれ補正で画素の大半を利用するVX700と電子式手ぶれ補正のため総画素の半分しか使わないPC7の比較
  • 同じ電子式手ぶれ補正でCCDサイズが面積で4倍異なるPC7とTRV300の比較

を行なって、参考としてハイ8の富士FH-30STと3CCDタイプの松下 DJ100も一緒に調べてみよう、というものです。

それぞれ撮影した画像は、IEEE1394から取り込んで...と行きたかったのですが、そこまで大袈裟にするのも何だったので簡単にビデオ出力をカノープスのV-portというビデオキャプチャユニットを使ってVGAサイズで取り込みました。被写体は、下記のカラーチャートをエプソンのインクジェットプリンタで印刷したものを使用しました。

これを、晴天下の屋外と、ほぼ同時刻の薄暗い室内とで1枚ずつ撮影しました。

(pdfファイルをリンクしておきました。良かったらご利用下さい。)

サンプル画像

(画像をクリックするとオリジナルの

フルサイズ画像が見られます。)

DCR-VX700 屋外 DCR-VX700 屋内

DCR-PC7 屋外 DCR-PC7 屋内

DCR-TRV300K 屋外 DCR-TRV300K 屋内
NV-DJ100 屋外 NV-DJ100 屋内
FH-30ST 屋外 FH-30ST 屋内

参考:カシオQV8000SX

参考:カシオQV770

最後の3つは参考でデジタルスチルカメラで撮ったものです。

モデル

CCD

画素pitch

QV770

1/4 35万

6.5μ?

QV8000

1/2.7 130万

4.4μ

CoolPix

1/2 211万

3.9μ

参考:ニコン CoolPix950

まず最初にお断りしておきますと、

「何だ、どのカメラもオリジナルに比べて全然色が出てないじゃん!」と思われるかもしれませんが、これはカメラのせいではなくてチャートを印刷したプリンタと紙のせい、と申し上げておきます。実のところカメラの方は、薄く印刷されてしまったチャートをかなり忠実に再現しております。どれも少しずつ傾向が異なっているのは確かですが、DCR-VX700が一番実物の色に近いです。

実は、実験をはじめる前は、色に関しては3CCDのDJ100がダントツで、

DJ100 >> VX700 > PC7 > TRV300

という様な順位だろうな、と予想していましたが、フタをあけてみると予想外にPC7が大健闘して

DJ100 > VX700 = PC7 > TRV300

と言っても良さそうな結果でしたね。

画素サイズから言ったら、

推定画素サイズ

モデル

約7ミクロン
DJ100、VX700、FH-30ST

約5ミクロン
PC7

約3ミクロン
TRV300

ですので、VX700よりPC7は劣っても良さそうなものですが、かたや'95年発売のVX700、かたや'97年発売のPC7の比較では2割程度のピッチ差はCCDの技術革新に吸収されたのでしょうか。(それでも面積だと3割減ですが。)

PC7の健闘は意外として、やはりTRV300の色が物足りないのは予想通りでした。これだけ単独で見ていると「まぁこんなものか。」と納得してしまうかもしれませんが、DJ100なんかと一緒に比較したり、あるいは実際の被写体を目の当たりにしながらファインダを見比べたりするとやはり色が足りなくて、何だか魂が抜けてしまったような印象を受けます。

もちろん、これが全てCCDのせいだ!と決め付けるつもりはありません。単にメーカーや製品の性格、あるいはチューニングによるものかもしれないことは否定しません。でも、やっぱり私の耳からは上で紹介した父の言葉がどうしても離れないのです。

ソニーの最新型DVカメラなどは1/4型 155万画素(有効:動画時97万/静止画139万)なんて言っていますが、これなんか計算してみたら画素ピッチ2.5ミクロン位まで小さくなっています。最新規格のMicroMVビデオ:DCR-IP7に至っては推定2.3ミクロンです。いったいどんな絵が撮れるのでしょうか...。

コラム [撮像素子のサイズ表記について]

良く、雑誌やカタログ、Webページとかに、「1/2インチ 211万画素CCD」という様に記載されているのを見かけることがあると思います。これに対して私個人はインチ表現は使わずに「型」と表記するように心掛けています。

別に、1/2型といおうが、1/2インチと呼ぼうがどちらも決して間違いではないと思います。
ただ、後者をつかうと誤解を招きやすいと思いますので、私個人は「型」を使った方が良いのではないか、と考えています。以下に、その理由と経緯を説明致します。

話は20年ほど前に遡ります。その頃は、まだ現在の様なハンディタイプの家庭用ビデオカメラというものは存在しておらず、肩掛けタイプの大きなポータブルのデッキとビデオカメラを太いケーブルでつないで録画する、というスタイルでした。

当時はビデオカメラの撮像デバイスとしては、ビジコン、ニュー・ビコン、プラン・ビコン、サチコンといった「撮像管」(真空管ですね)がポピュラーで、いわゆる「ソリッドステート」な半導体撮像素子としては日立がMOSの撮像素子を利用したカラーカメラを商品化していた程度でした。ただ、撮像管には、

  • 残像が多い
  • 明るいもの(太陽など)を写すと焼きつきが起こる
  • 小型化が困難
  • 消費電力が大きい
  • 値段も高い
  • ウォームアップが必要

などなど、より手軽でコンパクトな家庭用のビデオカメラに採用するためにはいろいろと問題があり、半導体撮像素子の実用化が待たれていました。

1985年の正月に発表されたソニーの8ミリビデオの1号機にはこの半導体撮像素子のひとつであるCCDが採用されました。そのモデルの型番には誇らしげに「CCD」という文字が冠せられて、CCD−V8と名づけられました。その伝統は現在もなお引き継がれており、DV方式の「DCR」シリーズと並んでただひとつ残ったハイエイト方式のビデオカメラはCCD−TRV86PKという名称を与えられております。

話がそれました。撮像管の話題に戻ります。

その撮像管ですが、管の径が1インチとか2/3インチ、1/2インチ等の種類があり、機器の小型化の要求につれてだんだん小径化していきました。それぞれのサイズに合わせてレンズなどの光学系も用意されたわけです。2/3インチの管には2/3インチ用の、1/2には1/2用の光学系部品がそれぞれ部品メーカから提供されました。

このインチ尺が管のどの部分を指すか、については私も正確なところは存じておりませんが、おそらくは単純に外形寸法のことだと思います。すると当然外形サイズ目いっぱいにイメージを投影するわけに行きませんので、実際の撮像エリアはもう少し小さい寸法になります。ある2/3インチの撮像管の例でいえば、その寸法は 8.8 x 6.6 mm とのことです。対角線の長さは約11mmですので、2/3インチ=約17mmの7割弱の大きさということになりますね。

もうおわかりでしょうか? 最初にCCDなどの半導体撮像素子を開発した際には、新たに光学系を1から作るよりはやはり撮像管時代からの光学系を引き継ぐような設計にした方が、セットメーカーや光学部品メーカにとっても都合が良いですし、撮像素子のメーカにとっても売りこみがしやすい。また、交換レンズを流用できるお客様にとってもありがたい、ということで、撮像素子の実際のイメージエリアの大きさを撮像管のそれと合わせるように設計したのです。

このとき、イメージエリアの寸法にしても、CCDのチップサイズにしても、2/3インチとか1/2インチという数字とはまったく一致しないものになってしまいました。だからと言ってそれまでの慣習を変えるのは難しいため、結果としてそのCCDが適合する光学系サイズのことを2/3インチとか1/2インチとかいった実体の無い数値で呼称することになってしまいました。

ですから、「2/3インチCCD」といったら、裏に秘められた意味は「2/3インチサイズの撮像管対応の光学系に適合するよう設計されたCCD」ということです。

長くなりましたが、以上の様な経緯がありますので、例えばDiMAGE7に搭載しているCCDを「2/3インチ500万画素CCD」と表記しても決して間違いではないのですが、これを見て「2/3インチサイズの撮像管対応の光学系に適合するよう設計された500万画素CCD」と理解できる人は非常に少ないと思います。

何せ実体の無い数値ですので、歴史的な事情を知らないふつうの人がこれを読んだ時に、
「イメージサイズの対角寸法が2/3インチある」
「CCDのチップサイズの対角寸法が2/3ある」
「イメージサイズの長辺の長さが2/3インチある」
「チップサイズの長辺の長さが2/3インチだ」

などと誤解をする可能性が充分にあります。というか、こう思うほうが常識人で正しく理解できる人の方が変人かもしれません。

したがって、少しでも誤解を減らすために、少々あいまいではありますがインチという単位を使うのは控えて、型と表記した方がまだましという理由で1/2型等の表現が利用されるようになったものと思います。


この呼び方でしたら、例えば32型ワイドテレビとか29型テレビとか呼ぶのと変わ
ないですよね?

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