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CCDとダイナミックレンジ、そしてラティチュード(2)

CCDのダイナミックレンジとラティチュードの関係を考察してみたいと思います。

まず、下のFig.1の図を見てください。これは、CCDに当たった光の明るさとCCDの出力の関係がリニアなものである、という仮定の下に、CCDのG感度の測定条件の明るさ=1として描いたグラフです。ここで、

  • ICX224AQ・・・・・・1/2型 211万画素CCD
  • ICX432DQ・・・・・・1/2.7型 324万画素CCD

で、それぞれG感度と飽和出力量は下記の様になります。

CCD

G感度
飽和出力量
ICX224AQ 270mV 500mV
ICX432DQ 220mV 420mV

ChartObject CCD素の状態の明るさvs出力

Fig.1 CCD素の状態の明るさvs出力

ごらんの様に、ICX224AQの方が高感度なため、グラフの傾きが急峻になっています。このため、明るさ=1.9弱のところで出力が飽和してしまい、1.9強のところで飽和するICX432DQに比べて一見ラティチュードが狭いように感じられます。

そこで、条件を少々変えてみます。上記は素の状態のCCD単体での比較でしたが、実際にはカメラに組みこまれた場合は露出の制御が加えられます。そこで、ICX224AQに対して、

  • 絞りを絞りこむ
  • シャッター速度を上げる
  • NDフィルタを加えて光量を制限する

などの手段により、システムとしてICX432DQと同等の感度になるように制限を加えます。

なお、この際、

  • CCD−A/Dコンバータ間のアンプのゲインを下げる(感度を下げる)

という選択肢はありません。なぜなら、一旦入り口で飽和してしまったものは、その後ろでいくら操作をしても復旧できないからです。

話を元に戻して、実際にはG感度の違いがICX224AQ:270mV、ICX432DQ:220mVなので、220/270だけ光量を制限してやれば良いことになります。log2(220/270)=約-0.3EVなので、-0.3EVの露出補正を加えることになると思います。(ICX224AQがISO100相当なら、ICX432DQがISO80相当、という勘定ですね。)すると、Fig.2に示すようになります。

ChartObject ICX224AQの入光量を制限した場合(1)

Fig.2 ICX224AQの入光量を制限した場合

こういう形にしてしまうと、明らかにICX224AQの方がダイナミックレンジ(電圧領域)が広くて、そのお陰でラティチュード(明るさ領域)も広く取ることができる、ということが明確ですね?

ChartObject ICX224AQの入光量を制限した場合(2)

Fig.3 明るさの基準を見直すと・・・

Fig.2は明るさの基準をG感度測定時の明るさ=1で計っていましたが、これをICX432DQの出力が飽和する明るさ=1になるように横軸のスケールを書き換えるとFig.3のようになります。こうすると、ごらんの様にICX432DQに対してICX224AQは約1.2倍のラティチュードをもつ、ということが一目瞭然ですね。

ChartObject ICX224AQの入光量を制限した場合(3)

Fig.4 出力を飽和量で正規化、デジタル化すると・・・

最終的に縦軸をA/D変換後の出力のデジタル量におきかえると、上のFig.4のようになります。0から1までの範囲の明るさの被写体に対しては、ICX224AQで撮影するとICX432DQに対してコントラストが下がった「眠い」画像に見えがちですが、その代わり、ICX432DQでは白飛びしてしまう、1から1.2までの明るさの被写体に対してもある程度の階調を残して再現することが可能である、ということがわかります。

ノイズに関しても、仮にA/D変換前のノイズレベルが双方とも10mVの大きさであったとしても、ICX432DQの場合はそれがデジタル領域では約6の大きさなのに対して、ICX224AQでは約5と、S/N比も1.2倍に改善されます。ただし、実際にはICX432DQが後から開発されたものなので、「改悪された」と、いうべきでしょう。

もっとも、面積比にして約1/3のCCDの出力を1/1.2まで持っていった訳ですので、ここはCCD開発技術者の執念を天晴れと褒めるべきでしょうか・・・。

私としてはその成果を1/2型CCDにフィードバックしたものを製品化してもらいたいものです。

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