CCDとダイナミックレンジ、そしてラティチュード<ここ数日の調査で判ったこと>
<JunZの推測>上に列記した事実をもとに、次のような推論を立ててみました。 (1) カメラの露出制御について下図に示すように、撮影環境によって、その光の明るさの分布ヒストグラムは異なってきます(図の@、A、B)。もちろん、一枚の画面の中で、0EV未満から、20EV以上まで、というような広い範囲の明るさを収めるということはデジタルカメラはおろかフィルムカメラでも不可能です。 したがって、カメラは自分が撮影できる範囲で、実際の被写体の明るさをその中央に写し取るような条件で露出(シャッター速度と絞り)を調整して自分の得意な明るさの範囲(図のC)に正規化します。
上の図は直観的に判りやすいように横軸をリニアにとっていますが、これを2の対数に書きかえると下のようになります。
例えば、撮影環境が@のヒストグラムをもつ暗い室内であれば、露出条件を+1EVすることで自分が写し取ることのできる範囲:Cを@に合った範囲に平行移動してヒストグラムを均等に切り取るわけです。 このとき、窓の選択を間違えると、下図に示すように、ヒストグラム分布の中心が撮影結果の明るさの中心と著しく異なることになってしまいます。いわゆる露出アンダー、露出オーバーの写真です。
(2) ラティチュードについて露出を適正に合わせたとしても、明るさ分布自体がカメラの(あるいはフィルムの)許容範囲をこえてしまう場合はどうしようもありません。この場合、上図に示すように、範囲を越えた部分はクリップされて歪んでしまうことになってしまいます。いわゆる「白とび」、「黒つぶれ」です。一般に、この許容範囲のことをラティチュードと呼んでいる、とJunZは認識しています。 ラティチュードが狭ければ、如何に露出をうまく制御しようが、写したいものを全て漏れなく記録することは不可能です。露出の制御で窓の広さを変えることはできないのです。
(3) 明るさとCCDの出力、そしてCCDの感度上(1)での話は、いわば、「明るさ」を表す横軸を正規化する議論でした。では「撮像素子の出力の大きさ」を表す縦軸についてはどうでしょうか? 現在の撮像素子の主流であるCCDは部品のダイナミックレンジともいうべき「飽和出力量」をもってその性能を語られることが多いのですが、実はA/D変換してデジタル化してしまうと、意外にその飽和出力量の差はダイナミックレンジの差としては現れてきません。 「最大出力に対して、今はどれだけの比率」ということで正規化されてしまうからです。ですので、「飽和出力量=500mVの特性を持つCCDで、出力250mVの場合と、飽和出力量=400mVのCCDで出力200mVの場合とは、デジタル化してしまえば実質同じ、ということになってしまいます。 ノイズが画像信号に及ぼす影響、という点に付いては、ノイズの絶対値が変わらないのであれば、絶対前者の方が有利なのですが、ダイナミックレンジについては差がないのです。 では、感度に付いてはどうでしょう? 飽和信号量の大きいものの方が、同じ光の強さでの出力電圧が高くなるわけなので一見、感度が高いように思えますね? 実は、これについてもあまり関係がありません。明るさ、出力の大きさともに正規化してしまうと、やはり一緒です。下の図に示すように、感度が高ければ半分の光の強さで飽和してしまうし、感度が低ければなかなか出力は上がらない変わりに、2倍の強さを当てるまで飽和しない、ということで、結局ゴールとしては同じなのです。 |
上の例では、窓の広さが限られていて、上下でクリップ、すなわち「白とび」、「黒つぶれ」が発生してしまいました。 では、もし「窓」が広ければ、すなわちカメラ(ないしフィルム)のラティチュードがもっと広かったらどうでしょう?白とび、黒つぶれは発生しないはずですね? フィルムカメラの場合は、窓を拡大するには、「フィルムを変える」より他無いわけですが、電子カメラの場合は次の方法が考えられます。 |
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いろいろ書いてきましたが、何だかんだ言っても画面上でみる階調や、紙の上に印刷する場合の階調は、現状sRGBで扱う限りは256階調でしか再現できませんし、その絶対的な表現幅自体も限られています。出力側でこれを拡大しない限りは、入力側でばかりラティチュードの拡大を図っても片手落ちでしょう。
(入力側でラティチュードを拡大すればするほど、そのまま8bit 256階調で持ってくると出力時にコントラストの低い「眠い」画像に見えてしまう。)
これを避けるためには、入力時には今のJPEGではない別の記録方式で多bit記録を行ない、出力時に適当にガンマカーブの調整を行なって見栄えのする画像に変換する等の必要があるか、と思います。
そもそも、「極小画素CCD」の弱点を暴くために始まったこの調査・考察ですが、結局のところ無難な結論に落ちついてしまいました。ここらでちょっとおさらいをしてみます。
ソニー製CCDのスペックシートから判ることは、簡略化して書きますと
というようなことで、ここから
明るさ=10EVの時に、255×(G感度/飽和信号量)のレベルになるかな?
という1点だけは規定できますが、どの明るさで暗信号まで落ちこむか、どの明るさで飽和するか、がさっぱりわかりません。
ですので、CCDの部品自体のダイナミックレンジがいくら判ったところで、カメラの中に組み込んだ際のラティチュードがどれくらいになるか、見当がつかないわけで、結局このスペックだけを取り上げて「白とびしやすい、しにくい」というような議論はできない、ということになると思います。
唯一言えるのは、飽和信号量に対して、暗信号と暗信号シェーディングがどの程度小さいか、ということ位で、これによって、「多分このCCD搭載機は暗部ノイズが多いだろうな。」と想像できるかどうか、ということか、と思います。
| 飽和信号量 | |||
| 暗信号 | |||
| 暗信号シェーディング | |||
| G感度 | |||
| ダイナミックレンジ? | |||
| S/N比? |
それにしても、こうして1/2 211万画素と1/2.7 321万画素とを比べて、Dレンジで3dB以上、S/Nで7dB違うというのは決して無視できる量ではないと思いますが、ね。(技術者の本能から、とでも申しますか。)