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CCDとダイナミックレンジ、そしてラティチュード

<ここ数日の調査で判ったこと>

  • 露出の基準として利用される、18%グレーカードというのは、反射原稿の白(=反射率約96%)と黒(=反射率約3%)の間を2の対数スケールで計った時のおよそ中間に相当する反射率をもつ原稿である。

log2(96/3)=5 vs log2(96/18)=2.4 <−だいたい半分

  • 実際にPhotoShop上でRGBの値を128にセットして、これをCMYKモードで読み取ると、K=18%となる。
  • 反射式の露出計は(大半のカメラはこの方式ですね)、撮影対象となる画面の平均反射率が18%相当であると仮定して、今写そうとしている画面の平均的な明るさが、自分が撮影可能な明るさ範囲の中央になるように露出を定めようとする。
  • 実際、白い画面でも、暗めの画面でも、全体が一様な条件の下でデジタルカメラで撮影すると、撮影結果の明るさは128前後になる。
  • 上記は、スポット測光モードの時の話で、インテリジェントなマルチ測光モードの場合はその限りではなく、スポット測光モード時より明るめに出ることがある。
  • 手持ちのデジタルカメラでは、ある一定の露出条件の下で、およそプラスマイナス3EVの明るさの範囲を撮影することができる。

<JunZの推測>

上に列記した事実をもとに、次のような推論を立ててみました。

(1) カメラの露出制御について

下図に示すように、撮影環境によって、その光の明るさの分布ヒストグラムは異なってきます(図の@、A、B)。もちろん、一枚の画面の中で、0EV未満から、20EV以上まで、というような広い範囲の明るさを収めるということはデジタルカメラはおろかフィルムカメラでも不可能です。

したがって、カメラは自分が撮影できる範囲で、実際の被写体の明るさをその中央に写し取るような条件で露出(シャッター速度と絞り)を調整して自分の得意な明るさの範囲(図のC)に正規化します。

Fig.1 被写体の明るさ分布と露出制御(リニア軸)


上の図は直観的に判りやすいように横軸をリニアにとっていますが、これを2の対数に書きかえると下のようになります。

Fig.1 被写体の明るさ分布と露出制御(対数軸)

例えば、撮影環境が@のヒストグラムをもつ暗い室内であれば、露出条件を+1EVすることで自分が写し取ることのできる範囲:Cを@に合った範囲に平行移動してヒストグラムを均等に切り取るわけです。

このとき、窓の選択を間違えると、下図に示すように、ヒストグラム分布の中心が撮影結果の明るさの中心と著しく異なることになってしまいます。いわゆる露出アンダー、露出オーバーの写真です。

よほど、作画上の意図がない限りは、撮影環境の明るさ分布に応じて露出を適正に合わせるのが基本です。

つまり、露出制御というものは、上図の「窓」の位置を図で言うところの左右方向に適切に移動することによって、ヒストグラムの中心が撮影画像の濃度の中心に来るように調整することに他なりません。

注意しなければならないのは、露出制御によって窓は左右に移動するのみで、基本的には広さまでは変わらない、という点です。

(2) ラティチュードについて

露出を適正に合わせたとしても、明るさ分布自体がカメラの(あるいはフィルムの)許容範囲をこえてしまう場合はどうしようもありません。この場合、上図に示すように、範囲を越えた部分はクリップされて歪んでしまうことになってしまいます。いわゆる「白とび」、「黒つぶれ」です。一般に、この許容範囲のことをラティチュードと呼んでいる、とJunZは認識しています。

ラティチュードが狭ければ、如何に露出をうまく制御しようが、写したいものを全て漏れなく記録することは不可能です。露出の制御で窓の広さを変えることはできないのです。


いわゆる、「レンズ付フィルム」と呼ばれている、使いきりカメラの場合は、基本的には絞り調整もシャッター速度調整もありません。一番上の図でいうところの、@の条件ではフラッシュを点灯させることで、強制的に被写体の明るさをAの方向に移動させ、A、Bの条件では特に何も調整しない、という方法をとっています。

したがって、特にBの条件での撮影は、基本的に露出オーバー気味の状態でフィルム上には記録されることになります。つまり、ネガフィルムの広いラティチュードを当てにして、ヒストグラムの中心が、必ずしもフィルム上に記録される濃度の中心とは一致しない状態で記録している、ということです。そのかわりに、ラボで紙焼きプリントを行なう際に、フィルム上の濃度分布をチェックして、その中心が紙焼きの際の濃度中心に来るように補正をかけているものと思われます。

ですので、フィルムの能力を充分に利用しない、贅沢な使い方となっています。

(当然、その分画質は普通の露出制御をしたカメラの場合より劣ります。)

(3) 明るさとCCDの出力、そしてCCDの感度

上(1)での話は、いわば、「明るさ」を表す横軸を正規化する議論でした。では「撮像素子の出力の大きさ」を表す縦軸についてはどうでしょうか?

現在の撮像素子の主流であるCCDは部品のダイナミックレンジともいうべき「飽和出力量」をもってその性能を語られることが多いのですが、実はA/D変換してデジタル化してしまうと、意外にその飽和出力量の差はダイナミックレンジの差としては現れてきません。

「最大出力に対して、今はどれだけの比率」ということで正規化されてしまうからです。ですので、「飽和出力量=500mVの特性を持つCCDで、出力250mVの場合と、飽和出力量=400mVのCCDで出力200mVの場合とは、デジタル化してしまえば実質同じ、ということになってしまいます。

ノイズが画像信号に及ぼす影響、という点に付いては、ノイズの絶対値が変わらないのであれば、絶対前者の方が有利なのですが、ダイナミックレンジについては差がないのです。

では、感度に付いてはどうでしょう? 飽和信号量の大きいものの方が、同じ光の強さでの出力電圧が高くなるわけなので一見、感度が高いように思えますね?

実は、これについてもあまり関係がありません。明るさ、出力の大きさともに正規化してしまうと、やはり一緒です。下の図に示すように、感度が高ければ半分の光の強さで飽和してしまうし、感度が低ければなかなか出力は上がらない変わりに、2倍の強さを当てるまで飽和しない、ということで、結局ゴールとしては同じなのです。


(4) ラティチュードとダイナミックレンジ

上の例では、窓の広さが限られていて、上下でクリップ、すなわち「白とび」、「黒つぶれ」が発生してしまいました。

では、もし「窓」が広ければ、すなわちカメラ(ないしフィルム)のラティチュードがもっと広かったらどうでしょう?白とび、黒つぶれは発生しないはずですね?

フィルムカメラの場合は、窓を拡大するには、「フィルムを変える」より他無いわけですが、電子カメラの場合は次の方法が考えられます。

<工事中>

しばらくお待ち下さい

<余談>

(その1)

いろいろ書いてきましたが、何だかんだ言っても画面上でみる階調や、紙の上に印刷する場合の階調は、現状sRGBで扱う限りは256階調でしか再現できませんし、その絶対的な表現幅自体も限られています。出力側でこれを拡大しない限りは、入力側でばかりラティチュードの拡大を図っても片手落ちでしょう。

(入力側でラティチュードを拡大すればするほど、そのまま8bit 256階調で持ってくると出力時にコントラストの低い「眠い」画像に見えてしまう。)

これを避けるためには、入力時には今のJPEGではない別の記録方式で多bit記録を行ない、出力時に適当にガンマカーブの調整を行なって見栄えのする画像に変換する等の必要があるか、と思います。

(その2)

そもそも、「極小画素CCD」の弱点を暴くために始まったこの調査・考察ですが、結局のところ無難な結論に落ちついてしまいました。ここらでちょっとおさらいをしてみます。

ソニー製CCDのスペックシートから判ることは、簡略化して書きますと

  • 真っ暗の条件の時には平均して暗信号で規定するレベルの信号が出てくる
  • ものすごい明るい条件のときには、飽和信号量で規定するレベルの信号が出てくる
  • だいたい10EVの環境ではGの画素からG感度で規定するレベルの信号が出てくる

というようなことで、ここから

明るさ=10EVの時に、255×(G感度/飽和信号量)のレベルになるかな?

という1点だけは規定できますが、どの明るさで暗信号まで落ちこむか、どの明るさで飽和するか、がさっぱりわかりません。

ですので、CCDの部品自体のダイナミックレンジがいくら判ったところで、カメラの中に組み込んだ際のラティチュードがどれくらいになるか、見当がつかないわけで、結局このスペックだけを取り上げて「白とびしやすい、しにくい」というような議論はできない、ということになると思います。

唯一言えるのは、飽和信号量に対して、暗信号と暗信号シェーディングがどの程度小さいか、ということ位で、これによって、「多分このCCD搭載機は暗部ノイズが多いだろうな。」と想像できるかどうか、ということか、と思います。

1/2型 211万画素CCD

1/2.7型 211万画素CCD

1/2.7型 324万画素CCD
飽和信号量

500mV

420mV

420mV
暗信号

8mV

8mV

10mV
暗信号シェーディング

4mV

4mV

8mV
G感度

270mV

220mV

220mV
ダイナミックレンジ?

35.9dB

34.4dB

32.5dB
S/N比?

41.9dB

40.4dB

34.4dB

それにしても、こうして1/2 211万画素と1/2.7 321万画素とを比べて、Dレンジで3dB以上、S/Nで7dB違うというのは決して無視できる量ではないと思いますが、ね。(技術者の本能から、とでも申しますか。)

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